猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
☆☆☆

どうしても1度は会社に顔を出すと言い張ってきかない尚美に、母親は「アパートで待っているから」と、送り出してくれた。

久しぶりにそでを通したスーツはずいぶんと大きいように感じられた。
それくらい、尚美の体型はやせ細っていた。

こんな姿をみたらみんな驚いてしまうかもしれないが、大好きだった職場に最後の挨拶くらいは自分の足で行きたかった。

電車に揺られて会社の最寄り駅へ行くだけで随分と体力を消耗してしまう。

尚美は何度も休憩をはさみながら会社へと向かった。
「結構大きなビルだったんだなぁ」

自分が働いていたビルを見上げてそうつぶやく。
仕事をしていたときはそんなこといちいち気にする余裕はなかった。
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