猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
☆☆☆

今日ここにきた大きな目的はみっつある。
ひとつはみんなに退院の挨拶をすること。

ふたつめは辞表を提出すること。
そして最後のひとつは……。

「関さん」

会社内をさんざん探し回って、その姿を屋上で見つけたとき尚美はホッとして笑みを浮かべた。

「田崎さん!」
1人ベンチに座ってスマホを見ていた健一が驚いて駆け寄ってくる。

そして痩せてしまった尚美を見て少しだけ顔を曇らせる。
「今日は迎えにいくべきでしたか? 無理していませんか?」

その質問に尚美は左右に首をふる。
健一には随分とお世話になった。
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