猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
「胃の調子はどうですか?」
これも、どうしても聞いておきたかったことだった。

早期発見とはいえ手術した身だ。
無理して働いてほしくはない。
しかしそう質問した瞬間健一は「え?」と、眉を寄せた。

尚美は慌てて「同僚たちから聞いて」と言い訳したのだけれど、健一は左右に首を振る。
「俺は胃がんのことは誰にも伝えてない……」

さっきまでの敬語が消えて、警戒した雰囲気が生まれる。
まずい。

つい心配で余計なことを口走ってしまった。
「な、なんでもないです。それじゃ、失礼します」

すぐにその場を後にしようとしたが、腕を掴まれて引き止められてしまった。
「誰から聞いたんだ?」

低く、威嚇するような声。
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