猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
☆☆☆

ヒョイッと抱き上げられて目を覚ました尚美は体から元気がみなぎるのを感じて相手の顔を確認した。

今までは空腹と疲労で相手の顔をはっきりと認識することもできなかったのだけれど、今あら大丈夫そうだと思ったからだ。

しかし相手の顔を見た瞬間尚美は爪を立ててその手を引っ掻いて逃げ出していた。
「いてっ」

と顔をしかめて血が滲んできた手の甲を見つめているのは、紛れもなく健一だったのだ。
な、なんで関さんがここに!?

すぐざま低いテーブルの下に逃げ込んで警戒する。
心臓がバクバクと音を立てていて、今にも爆発してしまいそうだ。

「まだ人間のことが怖いのかな」
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