猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
健一はティッシュで手の甲を拭きながらテーブルの下を覗き込んでくる。
尚美は咄嗟に身構えて体勢を低くした。

ここは関さんの家!?
そう言えば私、職場の近くで拾われたんだっけ。

自分を拾った人が憧れの上司だったとわかり、体温が急上昇していく。
今人間の姿だったなら、きっと耳まで真っ赤になっていたことだろう。

ってことは私、関さんにミルクを飲まされていたってこと!?
衝撃の事実を知り愕然とする。

健一に抱っこされてミルクを飲んでいる自分の姿が、人間バージョンで脳内再生される。
尚美は慌てて左右に首を振ってそのいやらしい妄想をかき消した。

わ、私は今猫なんだし!
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