猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
みたところ誰かと同居しているような形跡はない。
ベッドは大きくて広かったけれど枕もクッションも1人分だけだった。

ためしに食器棚へ近づいてみるけれど、これは背が高くて中を確認することができない。

だけどそのサイズはコンパクトで、いかにも一人暮らし向けといった感じだ。

2人分の食器が入らないこともないだろうけれど、きっと大丈夫。

どこの部屋にも観葉植物が多いので、緑が好きなんだろう。

今まで知らなかった健一の顔を見ることができて、尚美の心は踊ってゆく。

こうして猫になることができたからこその特権だと思って、思う存分楽しもう。

「ミーコ、お腹へっただろ。今朝ごはんを準備してやるからな」

後ろからそんな声が聞こえてきて振り向くと、ジーンズとTシャツというラフな恰好の健一が立っていた。
健一の私服姿を見るのもこれが初めてだ。
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