猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
シンプルだからこそ、健一の元々の良さが際立っているように見えた。

内心ドキドキしている尚美に気がつくことなく、健一はそのまま冷蔵庫へ向かうとミルクと取り出して耐熱皿に入れた。

「温まるまで少し待つんだぞ」

まるで子供に教えるようにレンジについて教えてくる健一に今度は胸の奥がキュンッとする。

動物に話し掛ける人は沢山いるけれど、こんなかわいい一面を持っているのだと初めて知った。

それこそ健一の猫なで声なんて、きっと他の誰も聞いたことがないだろうと思う。

ミルクが温められている間に健一は霧吹きで観葉植物たちひとつひとつに水をやりはじめた。 

サッパリした部屋の中で観葉植物たちものびのびと育っているみたいだ。

そうこうしている間にミルクが温まって、健一が小皿にそれを移してくれた。
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