猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
それはわかってる。
でも嫌なものは嫌だった。

前足と後ろ足をピーンと立てたままのミーコを見て健一は必死に笑いを噛み殺している。

そんなに面白いポーズをしているだろうか。
いや、してるな。

自分も人間だったころに動物動画とかで見たことがある。
緊張した動物が手足を伸ばして硬直している姿を。

自分が今あれと同じ状態になっているのだと思うとやっぱり信じられなかった。

だけど本能的に嫌だし緊張してしまうのだから仕方がない。
水に沈まないようにこっちも必死なのだ。

「はい、今度はお腹ね」

健一はそう言うとミーコの体をコロンと裏返しにしてしまった。

顔がお湯に浸からないように支えてくれているけれど、余計に緊張感が増す。

それに……。
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