猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
☆☆☆

健一の朝は忙しい。

優秀であればそれだけ期待も大きく、そして仕事内容も尚美とは段違いに多いとわかった。

「じゃ、行ってくるよ」
と健一が言って部屋を出たのは6時を少し過ぎたくらいだった。

尚美はいつも7時半までアパートでダラダラ過ごしているのでその差に驚いてしまう。

そういえば出会った日も休日出勤をしていたし、やっぱり忙しいんだなぁ。

あれだけモテるのに彼女の気配がないのはもしかしたら忙しいせいかもしれない。

それは尚美にとって嬉しいことでもあったが、やはり忙しすぎるのは気がかりなところだった。

玄関先で健一を見送り、一匹残された尚美は改めて室内を見回してみた。

今はミーコ用のものが溢れているけれど、来たときは本当に殺風景だった。

唯一、観葉植物が彩りを与えてくれていたくらいのものだ。
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