猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
そう思ったのが運の尽きだ。
上の段の扉はマグネット式になっていなくてそう簡単には開かなかった。

それでも尚美は諦めずに体を当てたり、爪を立てて引っ語りして扉に立ち向かった。
その結果、ちょっとした拍子に扉に隙間ができたのだ。

尚美は小さな体をそこから中へと滑り込ませた。
やった!

これで調味料を使うことができる!
と、喜んだのもつかの間。

ほんの小さな隙間が開いていただけの扉がパタンッと音を立てて閉じてしまったのだ。

あれだけ必死になって少ししか開かなかった扉が閉まってしまったことで、尚美はパニックになった。

少し考えれば体で外へ向けて押せば開くのに、頭の中は真っ白になった。
閉じ込められた!
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