猫に生まれ変わったら憧れの上司に飼われることになりました
匂い
食器棚の中の食器はすべて白いプラスチック製のものになり、更に扉には勝手に開かないように簡易的なカギがかけられた。

そして尚美はひとつ役割が与えられていた。
「いいかいミーコ。俺が仕事で疲れて朝起きれなかったら起こしてくれよ?」

ある日、冗談半分でそう言われたことを尚美はしっかりと覚えていた。
そして今日、健一はぐっすり眠っているけれど枕元の時計はあと3分で起床時刻になる。

ちなみにスヌーズ付きのこの時計は10分前には1度なり始めて、それを健一が寝ぼけたまま止めていた。

次で起きなければ朝ごはんを食べる時間がなくなってしまう。
尚美はベッドの上に座ってじっと時計を見つめていた。

あと2分。
あと1分。

カチカチと短針が動くたびに尚美はジリジリと腰を浮かす。
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