エルピスの花嫁~双子の神様に愛されて~小説版
シャワーで体を温め直している間に、咲仁くんは着替えを終えたようでいなくなっていた。
私も着替えて髪を乾かし、リビングに戻る。
リビングの扉の前に立つと、みんなの話し声が聞こえてきた。
なにを話しているのか内容まではわからなかったけど、みんな揃っている。
ドアノブに手をかけて、意を決して開く。
ソファーに座ったみんなの視線が、いっせいに私に向いた。
「珠子ちゃん!」
幸夜くんが真っ先に立ち上がって、私に駆け寄ってくる。
「ごめんね。怖い思いさせて……」
私の手を握って眉をハの字に寄せている幸夜くんに、申し訳ない気持ちになる。
二人が一人で帰ることを許さなかったのは、こうなるってことが分かっていたからなんだろう。一人になったら化け物に襲われるなんて言われても信じなかっただろうし、強引だったのも仕方がないことだったんだと思う。
「ううん。助けてくれて、ありがとう」
謝る幸夜くんに首を振って、幸夜くんの向こうにいる三人を見る。花は立ち上がっていて、胸の前で手を組んで祈るように私を見ている。咲仁くんと榴先輩は、落ち着いた様子でソファーに腰かけたまま。
「花も、榴先輩も……ありがとうございました」
咲仁くんにはさっきお礼を言ったから、今度は花と榴先輩に頭を下げる。
「当然のことをしただけだ」
「お礼なんて、言わないでっ!」
榴先輩はいつもと変わらない様子だったけど、花は今にも泣きそうにしていた。
「ごめんね、珠子ちゃん。こんなことになるなら、ちゃんと話しておけばよかった」
「極東まで来た甲斐がなかったな」
落ち込んだ様子の幸夜くんの向こうで、ソファーに座った咲仁くんがそっぽを向いて憮然としていた。
「でも、今まで無事でいてくれてよかった」
私の手を握る幸夜くんの手に力がこもる。
「とっくに、見つかってはいたんだろうな。それが……」
「僕と接触したから、だ」
榴先輩の言葉を受けて、幸夜くんの唇が白くなっている。
こんな顔をした幸夜くんに問いただすのは気が引けるけど、それでも私は聞かなきゃいけない。
私の身に何が起きているのか、みんなは――何なのか。
「ちゃんと、教えて……」
奇妙な生き物、奇妙な力。
信じられないようなことしか告げられないと、それを受け入れる覚悟を決める。
私も着替えて髪を乾かし、リビングに戻る。
リビングの扉の前に立つと、みんなの話し声が聞こえてきた。
なにを話しているのか内容まではわからなかったけど、みんな揃っている。
ドアノブに手をかけて、意を決して開く。
ソファーに座ったみんなの視線が、いっせいに私に向いた。
「珠子ちゃん!」
幸夜くんが真っ先に立ち上がって、私に駆け寄ってくる。
「ごめんね。怖い思いさせて……」
私の手を握って眉をハの字に寄せている幸夜くんに、申し訳ない気持ちになる。
二人が一人で帰ることを許さなかったのは、こうなるってことが分かっていたからなんだろう。一人になったら化け物に襲われるなんて言われても信じなかっただろうし、強引だったのも仕方がないことだったんだと思う。
「ううん。助けてくれて、ありがとう」
謝る幸夜くんに首を振って、幸夜くんの向こうにいる三人を見る。花は立ち上がっていて、胸の前で手を組んで祈るように私を見ている。咲仁くんと榴先輩は、落ち着いた様子でソファーに腰かけたまま。
「花も、榴先輩も……ありがとうございました」
咲仁くんにはさっきお礼を言ったから、今度は花と榴先輩に頭を下げる。
「当然のことをしただけだ」
「お礼なんて、言わないでっ!」
榴先輩はいつもと変わらない様子だったけど、花は今にも泣きそうにしていた。
「ごめんね、珠子ちゃん。こんなことになるなら、ちゃんと話しておけばよかった」
「極東まで来た甲斐がなかったな」
落ち込んだ様子の幸夜くんの向こうで、ソファーに座った咲仁くんがそっぽを向いて憮然としていた。
「でも、今まで無事でいてくれてよかった」
私の手を握る幸夜くんの手に力がこもる。
「とっくに、見つかってはいたんだろうな。それが……」
「僕と接触したから、だ」
榴先輩の言葉を受けて、幸夜くんの唇が白くなっている。
こんな顔をした幸夜くんに問いただすのは気が引けるけど、それでも私は聞かなきゃいけない。
私の身に何が起きているのか、みんなは――何なのか。
「ちゃんと、教えて……」
奇妙な生き物、奇妙な力。
信じられないようなことしか告げられないと、それを受け入れる覚悟を決める。