冬が終わっても春が来ても 君は、
ナツミとハルちゃん、どっちの名前のほうが
フユくんのくちから飛び出したか、いっそ数えておけばよかった。
そしたらもっと諦めもついたのに。
「フユくん。夏休みが終わったら二学期じゃん」
「うん。そりゃあね?」
「二学期って長く感じるけどあっという間に冬になるよ」
「そうかも」
「そしたらもうクリスマスだよ」
「そうだね」
「クリスマスも今のままでいいの?そんで春になったらクラス替えでナツミとは離れちゃうかもよ?」
「そうかもね…」
「私、フユくんが一年もかけてうじうじしてるなんて嫌だよ」
「俺も、こんな情けない自分は嫌だな。いっつもハルちゃんに助けてもらってさ。ごめんね?」
「フユくん、クリスマスまでにはナツミをかっこよく誘える男になってね?」
「なんで?」
「なんでって?」
「なんでハルちゃんはそんなに応援してくれるの?」
「好きだからだよ」
「え?」
「フユくんが好きだから。笑ってて欲しいだけだよ」
フユくんはふわってやわらかい目をして笑った。
生ぬるい風がフユくんの猫っ毛を揺らして、
柔軟剤の匂いはしなくて、
火薬のにおいが二人を包んでいた。
「ありがと。いつも味方でいてくれて」
「うん」
私の好きは正しくフユくんに届いた。
フユくんの中の正しさで。
「ナツミのことなんだけどさ、」
「今はだめ」
「だめなの?」
「うん。だめなの」
「変なハルちゃん」
「うん。変だよね」
最後の線香花火の火玉が落ちた。
「来年も一緒に花火しようね」
フユくんが無邪気に笑う。
夏なんかはやく終わってしまえ。
秋になって、冬が終わって、また春が来て、
それでもフユくんはナツミを好きなままなのかな。
さよならって心でつぶやいた。
何度も練習した言葉だ。
あと何日で、
私はフユくんを忘れられるのかな。
あと何日でハルくんはナツミのものになっちゃうんだろう。
あと何日待ったって、
私はきっと、「一番の味方」で居続けるのだろう。
フユくんのくちから飛び出したか、いっそ数えておけばよかった。
そしたらもっと諦めもついたのに。
「フユくん。夏休みが終わったら二学期じゃん」
「うん。そりゃあね?」
「二学期って長く感じるけどあっという間に冬になるよ」
「そうかも」
「そしたらもうクリスマスだよ」
「そうだね」
「クリスマスも今のままでいいの?そんで春になったらクラス替えでナツミとは離れちゃうかもよ?」
「そうかもね…」
「私、フユくんが一年もかけてうじうじしてるなんて嫌だよ」
「俺も、こんな情けない自分は嫌だな。いっつもハルちゃんに助けてもらってさ。ごめんね?」
「フユくん、クリスマスまでにはナツミをかっこよく誘える男になってね?」
「なんで?」
「なんでって?」
「なんでハルちゃんはそんなに応援してくれるの?」
「好きだからだよ」
「え?」
「フユくんが好きだから。笑ってて欲しいだけだよ」
フユくんはふわってやわらかい目をして笑った。
生ぬるい風がフユくんの猫っ毛を揺らして、
柔軟剤の匂いはしなくて、
火薬のにおいが二人を包んでいた。
「ありがと。いつも味方でいてくれて」
「うん」
私の好きは正しくフユくんに届いた。
フユくんの中の正しさで。
「ナツミのことなんだけどさ、」
「今はだめ」
「だめなの?」
「うん。だめなの」
「変なハルちゃん」
「うん。変だよね」
最後の線香花火の火玉が落ちた。
「来年も一緒に花火しようね」
フユくんが無邪気に笑う。
夏なんかはやく終わってしまえ。
秋になって、冬が終わって、また春が来て、
それでもフユくんはナツミを好きなままなのかな。
さよならって心でつぶやいた。
何度も練習した言葉だ。
あと何日で、
私はフユくんを忘れられるのかな。
あと何日でハルくんはナツミのものになっちゃうんだろう。
あと何日待ったって、
私はきっと、「一番の味方」で居続けるのだろう。