ピュアなお姫さま

家の近くにくると

桃花ちゃんの足のペースは断然落ちていた…。

息も荒々しくなってきてる。

もう限界だな。

ふと空を見上げてみる。

真っ暗な空は星ひとつ出てなくて

暗闇みたいだ。

視線を前に戻すと

ポツポツと一定の空間を空けて置いてある

外灯がチカチカと弱々しく灯っている。

『桃花ちゃんそろそろ限界なんじゃな~い?』

ノロノロのペースでフラフラして前を歩く

桃花ちゃんに声をかける。

言葉と一緒に白い息が出る。

冷え込みがハンパないくらい激しい。

部屋着だけで来てしまったことを心底後悔した。

上にダウンでも羽織ってくりゃ良かった。

桃花ちゃんは唇を尖らせてクルッと体ごと振り向くと

ストンとその場に座り込んでしまった。

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