皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました
「虫が、ヤバいです。」
「確かに、外は失敗したかも。」
ベンチに座っている私の目の前に現れた黒川君は、白いTシャツの上にあの時と同じスカイブルーのシャツ。
まさかあの時の服を着てくれるとは思わなくて思わず笑みが溢れる。
私が着ているワンピースは、その服を見て選んだんだよ。
「あ、似合うじゃん。その服。」
「本当?ありがとう。あとこれ。じゃじゃ~ん!!ハッピーバースデー!」
と、紙袋からラッピングされた誕生日プレゼントを黒川君に差し出す。
「…は?本当に?」
「本当本当!!」
「は…ハハッ。いいの?」
「猫派だったらごめんね。」
「何が?…ありがとう。」
暗闇でも見える黒川君の顔がビックリしながら笑ってくれて、私もなんだか嬉しくて、やっぱり買って良かったと胸がポカポカする。
座っている私に、目の前で立つ背の高い黒川君を見るにはかなり見上げてしまうので座れば?と声をかけるが、
「……う~ん。実はあんまり時間無いんだ。」
「え、そうなの?忙しいね。勉強してる?大丈夫なの?」
「あぁ…まぁ…ね。」
と、なんだか濁すような返事に流石の私でも気付き、さては勉強してないなと解釈をして
「駄目だよちゃんとテスト受けないと。本当に私と一緒に卒業出来なくなるじゃん。頑張ってよ。」
「………。」
「黒川君?」
右手でプレゼントを持っていた黒川君が、私の前でしゃがみこみ、同じくらいの目線で見つめ合う。
「化粧してるの?」
「うん。初めてお店でしてもらったの!変…かな?」
「………。」