皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました
可愛すぎてビックリしてる
小さな声で確かに聞こえた。
と、同時に黒川君からいつもするあの香りが温もりと感じる。
しゃがんでいた黒川君が、一瞬立ち上がって突然ベンチに座っている私を「ちょっとだけ…。」と、抱き締める。持っていたプレゼントはパサッと地面に音を立てていた。
咄嗟の事に驚いたのは自然なことで、
だけど、あの時反射的に突飛ばしてしまった私の手は、今は違う。
細いけど引き締まっている黒川君の背中にソッと手を回す。
なんだか嬉しくて、
恥ずかしいという気持ちもなくて、ずっとこうしていたい。
そう思えた夏の夜。
私を抱き締める黒川君の手が緩んだ時に「どうしたの?」と尋ねると、
嬉しいことがあったのか、それを隠すようにしていても唇の口角を上がっている。
一番近くの距離で見えたこの顔は、素顔なのか演技なのか。
「俺…映画の主演決まったんだ。」
腕も身体も、あの匂いも私から離れ、言った言葉は私にはどれだけ凄いことかわからないこと。