皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました

山積みの書類を一度家に置こうとバス停に向かう。
直ぐ近くのバス停には病院帰りの人が多く待っている。

どんよりと雲っている空。
明日は雨らしいとお婆ちゃんとお爺ちゃんが話しているのが聞こえた。

明日…か。

お見舞い行かないとお父さん寂しいかなぁ。でもまた何を言われるか。
毎日はとてもじゃないけど行けないし、こっちもバイトがある。

気分が上がらないままバスが到着して、バス特有の沢山の人と外の匂いが混ざった空間に入り、空いてる窓側の席に座る。

バスに揺られながら、昨日と同じような車のスピードで、窓から見た景色をぼんやり見ていく。



お父さん…これからどうなるんだろう。考えても考えてもお酒を止められるお父さんを想像つかない。


少しだけ目を瞑り、もしかしたら訪れる最悪な状況も一緒に想像してみるが、不思議とそちらの方がすんなりと未来が見える。




きっと私は一人ぼっちになるんだ。




そうしたら私も…
黒川君と同じ、進級もしないで働いていくんだろうな。

学校に行きたかったと、いつかそんな話を誰かと大人になった時に話しているのかな。



ゆっくり目を開けて、ふと定食屋の近くまで走っているのに気付き、降りるボタンを押す。

自分が降りる一つ前の停留所に降りて、リュックを背負い直して定食屋に足を向かう。
店主とママさんの定食屋は自宅と繋がっている。
手土産一つも買っていないからマナー違反かなと思うが、心配なのは代わりないのでとりあえず顔を出そうと歩く。

見えてきて定食屋、丁度私服のママさんが玄関の掃き掃除をしていた。


「ママさん。」
「あれ?幸っちゃん?」




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