皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました

「幸っちゃんお父さんの入院予定の目処はたってる?」
「ううん、聞いてない。」
「失礼な事聞くけど入院のお金とか保証人は大丈夫なの?」
「………。」


失礼ではないけど答えにくい質問に、返事が出来ない。これじゃあまるでお金の無心に来たみたいで、誤解されても困るので話題を変える。


「それより、こっちだってビックリしたよ!その怪我で入院しないとか。店主どんだけ不死身なのさ。」

「いやぁ、これな。ギブスはめてるけど折れてるわけじゃないんだぞ?ちょっと骨がピシッとな。」

「そうよ、だけどこの人ギブスしないとお店出ちゃうから無理やり医者に言ってギブスしてもらったのよ。」

「駄目じゃん店主。」

「…だってよ、店開かないと幸っちゃん困るだろ。こっちとしては別に幸っちゃんが働かなくても生活代ぐらい出してやりたいけど、それじゃあ幸っちゃん気まずいべ?」

「え?」

「本当に最後まで迷ってたんだけどね。でもお弁当くらいはやっぱり毎日持たせてあげたくて連絡しようと思ってたの。私だってお料理出来るのよ。」

「俺より下手だけどな?」
「その腕のヒビを真っ二つにするわよ。」


アハハと私以外、二人で笑っているがどうしよう。





堪らなく嬉しい。

嬉しくてじんわり胸がこみ上げてくる。思わず涙が出そうになるが、我慢してマスクの位置を調整して誤魔化す。


「ありがとう二人とも。ママさんお弁当はお願いしたいな。店主、早く治してね。私早く此処で働きたいから。」

二人とも、優しい顔で私を見てくれる。


「私達、子供が居ないじゃない?私が昔病気しちゃったから子宮を取っちゃってね。だからもし、娘がいたら幸っちゃんくらいの年齢かなって。」
「俺らの年齢なら孫じゃねーか?」
「私四捨五入したらまだ50歳です。」
「四捨五入するなよ。それしたら俺60になるだろ」
「フフ。」

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