皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました

アルコールのせいで追いかけてくる程体力も無いお父さん。

どうせ、記憶も無いだろうしね。




追いかけて来なくてもなんとなく走って逃げた足は早歩きに変わり、いつもの場所のタコ公園に着く。

昔からあるタコの足の滑り台、前後の水平で動くスプリング遊具、大中小の鉄棒。所々に置いてある木のベンチ。

誰かの忘れ物かな

砂場に置かれた砂の入った小さなバケツが転がっている。


流石に夜なので誰も居ないし部屋着で飛び出したから寒い。そういえば連日急激な温度変化で身体がブルッと震える。なんで私は薄い洋服と半ズボンなのだ。

ハァッと息を吐いて手を温める。

だけど指先は冷たいし、鳥肌も止まらない。


だけどまだ
戻れないんだよなぁ。

たまに思う、もしかしたら私お父さんに殺されるんじゃないかって。
怖くて怖くて、うずくまるのに止めてくれない暴力。
でも次の日には覚えていない記憶に、殴ったせいで出来た私の痣を見ても見て見ぬふり。

こんなにもお父さんが怖いのに放っておけない。

でも今はまだ戻らない。時間が経過するのをただ待つだけだが、外の気温が寒すぎるのでせめて近くのコンビニで寒さを凌ごうとした時。

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