皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました
電話をしながら歩き、どうやって現れるんだろうと周りを確認しながら、少し早めに歩く。
背の高い男の人の姿が向かいから歩いてくる。近づいて見ると、カーキ色のトップスに黒の上着のジャケットが大人っぽい。
細みのデニムが長い足を強調している。というか、イケメン過ぎてこんな街中で目立つんだけど!
「お待たせ黒川君。一人で大丈夫なの?」
「お疲れ~。え?何が?そんな子供じゃないんだから一人で歩けますよって。」
そんな意味で言ったんじゃないが、黒川君を見て少し紛れた空腹感。
というか、少し髪の毛が伸びたと今更気付く。
「サングラスとかかけたら?」
「こんな夜にか?余計怪しいだろ。あ、でも伊達メガネあるわ。」
「あ、私のバック…。」
「使ってるって言っただろ。」
肩にかけていたトートバッグは私があげたもの。そのトートバックからメガネケースを取り出してメガネをかける。
「似合う!!!かっこよ!!」
「幸子と会ってから今までで一番誉められた気がするんだけど。」
眼鏡フレームと、耳にかかる部分が2トーンに色が別れているお洒落な眼鏡をかけて素顔を30%隠した顔に、少しの安心と私の中の眼鏡男子の萌えが上がる。
「いやぁ私、眼鏡の男の人好きかもしれないわ。秀紀さんが眼鏡してるの見てもテンション上がったもんなぁ。」
「いやいや俺の方が似合うでしょ。つか行こう。腹減ってまた倒れるぞ。」
一緒消えかけた空腹感が、再び思い出してまた胃袋がグルルルルと悲鳴を上げる。
「腹に何か猛獣飼ってるのかよ。」
「え?聞こえた?」
「人の腹鳴るの初めて聞いたわ。」