皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました

助けてプリン


座布団もなく、カーペットも敷いてない居間の畳にあぐらをかいて座る黒川君。私は台所で初めて食べるハンバーグドリアを、電子レンジで温めながら黒川君の姿を観察する。

「変な感じ…。私の家に黒川君がいるなんて。あ、飲み物とプリン冷蔵庫入れる?」

たのんまーすと黒川君が返事をして、出来上がりの音がした電子レンジからハンバーグドリアを取り出して、蓋を開けると湯気がふんわり上がる。

「ふおぉぉぉ!ヤバいねヤバいね。初めて食べるよぉぉぉ。」
「…本当に?」

台所の椅子に座ってコンビニで貰ったプラスチックのスプーンで一口食べる。

「んまぁぁぁぁ!!なんだこれぇぇぇ!これ作った人に土下座してお礼を言いたい。」

初めて食べるハンバーグドリア。ファミレスではケチャップだが、こちらはデミグラスソース。
どっちでもいい、ホワイトソースと絡んで最高かよ。






本当に…辛い生活してるんだな




小さく黒川君が呟いた台詞は、私はハンバーグドリアに夢中で全く聞いていなかった。
私の好きな食べ物のランキングが変わる程の衝撃だ。


あっという間に完食をして、お腹がいっぱいで満足していると。

「「あれ?」」

黒川君側の居間の蛍光灯が切れて、真っ暗になってしまう。

「ごめん!電気切れたかも。紐引っ張ったら豆電気はつくと思うから!」

何が困るって台所の電気も切れていて、居間の電気だけでいいやと買うのを止めて過ごしていたからまさかこのタイミングで切れるとは。

「プププ…。」と笑いながら黒川君が電気の紐を引っ張り、意外と見える視界に少し安心する。

「いやーごめんごめん。電気切れるとかお恥ずかしい。」
「替えはあるのか?」
「無いよ、明日買ってくる。申し訳ないけど…」


「は?帰らないよ?」


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