皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました
「あんた、天然?」
「いや、マジで知らない。壁ドンならうちのお父さんもよくやるよ。ドアドンの方が多いけど。」
「天然かぁ。」
「いや聞けよ。」
出た、昨日から会話にならない会話。
黒川君動向じゃなくて、純粋にこういうタイプが凄く不快だ。
壁にもたれていた彼の腕がゆっくり戻り、ようやく私から少し離れてまた床に座る。
「ざっくり説明するな。俺ね、イケメンなのね。まぁイケメンなのは産まれた時から今の今まで言われてきた事だし、事実だから俺も否定しないし、なんならもう当たり前というか。」
「はぁ…。」
「んでね?俺、12歳の時に全国のコンテストで最優秀賞と他諸々とって芸能事務所に入って芸能活動してるんだ。」
「あ、昨日コンビニの雑誌の表紙載ってるの見ました。」
「そうそれ!モデルやったりなんなら歌も出した事あったり、テレビでバラエティーからドラマまでめっちゃ出てるわけ。」
「あら凄いですね。」
「んでね?大事な事はここね?もう誰しもが認めるイケメンで、男ですら抱きたいと思われる国宝級!とか世間で騒がれるくらい。なのにね?」
「はぁ。」
「俺の事知らなかったよね?」
黒川君はあぐらをかいている太ももに肘を置き、手に自分の顎を乗せて私に聞く。