皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました
一体何故?みたいな顔で、ずっと立っている私に聞く。あぁなんだそういう事ね。
「それに関しては私も黒川君も悪いわけではなくて、私の家テレビ無いのね。お父さん壊しちゃって買うお金も無いからずっと観てない。ちなみに携帯も持ったことないから。さっきの壁ドンが有名なら私、今まで図書館にある漫画とかしか見たことないから天然でも何でもなく知らないだけ。」
「は?テレビ無いってガチ?てか携帯ねーの!?嘘でしょ?」
「逆に持った事ないから無いのが私にしたら普通だけど。」
「テレビも携帯も無い??普通ならどっちかはあるじゃん!どうやって生きてるわけ!?」
なんなの、馬鹿にされてる?
話せば話すほどやっぱり嫌な気分にしてくるんですけどこの人。
少しでも早く教室戻れるように、彼に背中を向けて階段の一段目に座って話す。
「お父さんと生きてる。」
アルコール依存性で、数ヶ月前まで生活保護で生きてきたけど私がバイトをするようになって打ち切られた援助。
働かないと生きていけない。
働かないとお父さんと生きていけない。
そんなことまで
絶対話さないけど。
絶対話すつもりもないけど。