皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました

「なんで知ってんの!?バイト先。」
「え?普通に調べた。」
「サラッと怖いこと言わないで。」


割烹着を着ている私と、チャックが開いたパーカーの下に制服の指定ベストを着ている黒川君。今日は学校に来るのだろうか。


「おぉ!げいのうじんだ!」

店主が言い慣れていないのか、片言のように黒川君を見てはしゃぐ。ていうか店主ですら黒川君を知ってるってこの人どんだけ知名度あるの!?

幸っ(さっ)ちゃん、瑠色と知り合いなの!?凄いじゃない!?」

ママさんは黒川君の名前まで知っているのか、声のトーンを上げて私の肩をパシッと叩く。


黒川君が案内もしていないのにカウンターのど真ん中に座り、壁に書かれているメニューをじっと見て


「幸子、唐揚げ定食一つ。」
「朝から食べられ…って私の名前言ったっけ!?」
「だから調べたって。」
「怖いって!!」


どうやって自己紹介もしていない私の名前やバイト先を調べられるのか。
芸能人とはそんな闇の力を持っているのか。


「腹減ってるからママ大盛りね。」
「は~い。」


語尾のあとに明らかにハートがついているママさんの返事、唐揚げを一つオマケで多くしている店主も、闇の力のせいなのか!?
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