皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました

「…お待たせしました、唐揚げ定食です…。」
「う~腹減ったぁ。」


持ってきた料理をカウンターに乗せ、周りを見渡すと、ママさんは待っている間に書いてもらったサインを何処に飾るかウロウロ。

店主は仕込みの作業の続きをしている。

私もいつも通り厨房で出来上がった惣菜を小分けにしようとするが、カウンター越しに黒川君の姿が見えて落ち着かない。


「あれかい?げいのうじんと幸っちゃんは知り合い?」
「知り合いというか…同じクラス。」

店主が大量の魚を捌きながら私に話しかけるが、
それは勿論黒川君の耳にも入る程の距離に余計な事言うなよと、バチっと目が合った彼に目力を使って訴える。

黒川君はお箸を持つ反対の手を使ってオッケーサイン。

珍しく物わかりが良くて逆に不安になるが、バクバク食べている唐揚げが余程美味しいのかこちらに話題を全くふらない。


「ご馳走さまで~す。」
「はいはい、お粗末様です。お茶どうぞ。」
「ありがとうママ。」

キャッとママさんが頬を赤くしてこちらに戻り、店主はおい…と言っているが笑っている。

「幸子、俺今日学校行くから一緒に行こうぜ。」
「は、はぁ?」
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