皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました

「やだよ。また周りから何言われるか。」
「ハハッ。やっぱり何か言われてんだ。」
「誰のせいだと思ってんのよ。」
「俺をこの世に送り出した神のせい…かな?」



「……………。」
「おい!お前それ人間がしていい顔じゃねーぞ!?」


思わず何言ってんだコイツと表情で出してしまった顔に黒川君が笑いながら突っ込む。
いたってこちらは真面目に引いているのに何処まで楽観的なのか。

「芸能人が此処にいたら大騒ぎになるからさっさと店出なよ。」
「は?お前気付いてないの?この店、いつもお客さん居ないのか?」



言われてみたら春休み中からここで働いて、開店待ちしているくらい行列の出来る筈が確かにお客さんが一人も来ない。

「あれ、なん…で。」
「外見てみろよ?その代わりソッとな。」


言われた通りに引き戸の扉を数センチだけ開けて確認すると、

かべ。



なんだこの黒い壁。

いや違う、背中だ。


目線をゆっくり背中から上に上げると、見たことあるイケメンのおじ…お兄さん。と、数人の男女が店の入り口に立ち、お客さんが入らないようにガードしている。


「何これ?!何してんのよ、あんた!」

扉を勢いよくピシャッと閉めて未だにカウンターでお茶を飲んでいる黒川君に叫ぶ。





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