皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました

「幸子に対して悪口言ったり、嫌がらせしたり苛めたりしてる奴らって、このクラスにいないよね?」


突然の黒川君の発言に教室がシーーーンと静まり返り、こちらを見ていたほぼ全員が目線を反らして下を向いてる。


「あと、幸子の写真晒した奴らも覚悟してね。勿論このクラスには居ないと思うけど、面白半分でRTした奴らも絶対許さないから。君たちのお と も だ ちにも伝えといてね。アカウント消しても事務所使って絶対本人特定してやるから。」


後者の台詞は私には理解出来ないものだが、何やらよっぽど彼の言っている事が皆には怖いのか、半分以上が下を向きながら携帯を急いで触っている。

どういう事?って思いながら黒川君を見たら



「幸子、誰かに何かをされたら必ず俺に言えよ。お前優しいから今まで言ってくれなかったけど、俺がぜっったい守ってやるから。」



左目だけが瞬き、破壊力抜群のウインクを私に向けたが、やたらと胡散臭い台詞が演技とわかった所で本鈴が鳴る。

チャイムのタイミング、皆が自分の席から逃れられない時間帯に計算された黒川君の意図、多分私はこれからの身の安全を保障されたのだろう。


朝から彼にやられっぱなしで、

なんだか私は黒星をつけられた気分だった。
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