皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました
「へ、へぇ。」
夢いっぱい語る黒川君の話を、裏で努力もしていた事実になんだか驚いてしまう。
イケメンで野心家ってなんだかもう世界が違い過ぎる。
「成功したあかつきには報酬も考えているのでどうか協力を幸子先生!」
頼んでいる割には壁に背中と頭を床よりにつけ、ダラりとだらしなく寛いでいる黒川君が片手でお願いのポーズに真剣なのか真剣じゃないのか。
「…検討いたします。」
「えっ?本当に?」
黒川君の良い匂いが漂う空間内。
まぁ、だろうなと自信満々な顔で体制崩さず目線だけで私を見ている。
随分舐められている。
やっぱり本気で断ってやろうか。
「…たださ。」
「ん?」
「私の家、お察しの通りちょっと…かなり苦しくてさ。黒川君と会う時間も本気で厳しいんだよね。
稼ぎたいんだ、私。
お金が必要なの。
理由は…まぁ有りがちだから省くけど、とにかく私は働かなきゃ。」
流石にこれを聞いた黒川君も、床と同化してしまいそうな体制から上半身を使って体制を直し、キチンと私の顔を見て話を聞いてくれた。
「それなら尚更携帯持てよ。バイト先だって幸子と連絡つかないのは困るだろうし、俺だって困るんだ。そこは俺が責任持って払うから持ってくれよ。」
どう返事をしていいのかわからなくて困ってしまうのと、
真面目な顔の黒川君の表情に少しだけドキッとしてしまった。