皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました
初めて聞くここの学校のチャイムの音が鳴っても未だにざわめく教室内に、散らかり過ぎて残念な髪の毛の、スーツを着た年齢不詳の男の先生が入ってきた。
先生が話していてもそれでもヒソヒソと何人もの女子達がこちらを見ているのがわかる。
頼むから前を見てくれ。
違う意味で落ち着かねぇ!!
「じゃあこれから入学式が始まるから体育館に移動する。列は出席番号順で並びなさい。」
言われた通り直ぐに廊下に出て、窓からコの字型の間取りになっている中庭を見る。
中庭と言っても日陰で薄暗く、作業着を着ている用務員のおじさんが掃除をしていた。
そしてふと視線を変えて見えた、開けた扉から見える人だかり。D組で廊下に出てきたの私だけで、あれ?っと慌てて教室の様子を伺う。
「本気でイケメンなんだけど!」
「私ずっと推してたよ!」
「呼び捨てしてもいいのか?」
何やらさっきのイケメンに男子も女子も群がっている。