皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました
緊張も何も、男子と手すら握った事がない私がこんな訳のわからない密着をされて固まらない訳がない。
しかも首の後ろで黒川君が唇を付けたまま話すものだから、余計に緊張する。
「いや…あの…免疫が無いものですから…止めて頂きません?近すぎるにも程があるので。」
「なんだ、敬語だけどいつもの幸子じゃん。」
今度は唇が付くか付かないかの数ミリで、彼が発声する度に息が首にかかってくすぐったいというか、私の全神経がここに一点して落ち着かない。
「ここは?」
「は?」
右耳の耳たぶを軽く咥えられて、雷が落ちる程の衝撃。
両膝をホールドしていた両腕が私の中で解除されて、目を瞑れば顔面を見なくて済むという色々な判断が頭を過り、
目を瞑りながら振り向いたと同時に、
彼の顔本体を力一杯突飛ばす。
首が折れるかと思ったと、とりあえず怪我をして色々な影響が出たら大損害ですと、ちなみに価値は顔だけじゃない、身体もだと、黒川君は丁寧に涙目になりながら話していた。
「私悪くないけど…何かごめん。」
「俺は悪くないから謝らない。」
「いや悪いだろ。」
一番最初の位置に戻ってふたたびだらしない姿で話す黒川君が、何故かふてぶてしい態度をしている。
「意味の無いスキンシップは止めて。そういうのは本物の彼女が出来たらすればいいじゃん。てか何で付き合ったこと無い人がそんなスムーズにこんな事出来るわけ?」
「いや、彼女は居たこと無いけどこういうのは普通に…。」
「どういうの?」
「まぁ僕まだ性欲旺盛な十代なので。」
制御が出来ない腐れ生殖器か。