皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました

「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
「二人でーす。」

夕方の時間帯の客層は学生達も多く、どのお客も私より全員可愛い。
サラサラの髪の毛が羨ましい。
同じ学生なのに綺麗なお化粧をしているのも羨ましい。

そもそも、

安くて業務用アイスに少しのコーンフレークの入った品物に、何となく入ったチョコレートソースにお金を出せる経済的余裕が一番羨ましい…。


税込715円…。
あり得ない、こんなものに700円以上出せる皆のお財布事情が凄い。


さっきの黒川君の写真集だっていくらなんだろうか。
1000円以上するよね、きっと。


「木村さん?」
「あ、すいません。」

色々考えて静止してしまった私に、男のチーフが名前を呼んでハッと現実に戻る。
ヤバイヤバイ、ちゃんとしないと。



ポーン

「只今伺います。」

呼び出し音がなった番号のテーブルに向かう。

それでもやっぱり考えてしまう明日の生活への不安。
笑顔を心掛けている接客も、私の心の中はずっと不安で仕方ない。


私 ずっ と こんな生 活が 
 つづ く の??







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