皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました
ポケットに入ってある携帯で時間を確認すると、さっき言っていた14時を過ぎようとしている。と、何やら大きな声で
「うぇ~い!今日は海に来てるよ~!!」
と、黒川君がゴミを避けながら砂浜を歩いて男の人が携帯を持って彼の話す言葉に相づちを打ちながら跡をついていく。
なんだなんだ?
一体何をしているのか?
「何処って?俺の街のきたねー海だよ!遊泳禁止だから今日は脱ぎませ~ん!」
と、誰と話しているのか、いつもよりテンション高い黒川君。というより、別の人?と思う無邪気な顔もまるで作り物みたいなキャラで何がなんだか思考が追い付かない。
だけど誰に話しかけているかもわからない筈なのに、まるで誰かと付き合っているような優しい笑顔と不思議な感覚。
「ほら?気をつけて?俺の背中捕まっててよ。」
なんだかドキドキさせるような仕草と表情に目が釘付けになる。
「これね、生配信。テレビで言ったら生放送かな?今の瑠色をユーザーが携帯で視聴しながらコメントで会話をしていくシステムというか…」
秀紀さんがさっきよりも分かりやすく説明してくれてる様な気がするが、それでも何を言って何をしているのか全然わからず。
「…秀紀さん、ごめんなさい。私全然わからないです。携帯も…今日初めて触りました。」
「あぁ…うん。そうだったね。幸子ちゃんも観れるよ。瑠色が全部登録してる筈だから。スマホ出せる?」
私のポケットから出す携帯を、ちょっと貸してと秀紀さんが操作して
「見てごらん。」
と、携帯を私に渡すと、
目の前にいる黒川君が携帯に映し出され、見たことのない画面に沢山の白い文字がどんどん動いている。
初めて見る表示されているメッセージが目がチカチカして、書いてあるコメントも早くて読めない。