皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました
イケメンの正体
「黒川瑠色です。皆が知っている通り、僕は仕事をしているので学校に来れる日は少ないと思いますが、留年しない程度に出席したいと思います。
あとは…ん~?
仕事の呼び出しとかされた時、あと遅れて教室入る時が多いと思うので、廊下側の一番後ろの席は我が儘言って固定させてもらいました。
こういう挨拶とか自己紹介苦手なのでもっと練習しなきゃ…宜しくお願いします。
あ、呼び名は瑠色で呼んで下さい。」
男子のアハハの笑い声と女子のキャーが入り交じった声が教室内に響き渡り、そしてクラスの半分は拍手までしている。
え?この人仕事してる?
高校生なのに?バイトじゃなくて?
何者なの?
黒川瑠色という人が座って隣の席の私の顔と一瞬目が合う。
黒川君は良い匂いをぷんぷんさせながら、ニコンと直視出来ない程の素晴らしい笑顔を向けてくれるが、
そこで私も笑顔を向けるほど社交性はないし、いかんせん友達も居たことないからこの場合の対処がわからない。
ニコっと返せば良いのか…?
よし、やってみようじゃないか。
に、に、に、ニコ…と引きつった唇を上げたのに時すでに遅し。
黒川君、席に居ないどころか気付けば教室から既に姿を消していた。