皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました

お父さんの目の前で携帯を触れないから外に出られたら何処でも良い。

覚えた電話帳のボタンを押して、少ししか入っていない番号に慌てて電話をかける。


プルルルル…
と、初めてかける電話のコール音が余計に緊張する。




『もしもし?どした?珍しくない?』
『く、黒川君!』


電話をしながら、とりあえず会話をして暗い歩道を歩いていく。


『なんか…なんか…私の事を聞いてきた人が…家に訪ねてきたみたいで…。』
『は?マジ?もう家までバレてんの?』
『どういうこと?』
『ちょっと電話切って。何処で会話聞かれてるかわかんないからLINEする。』
『え?え?』


どうしていいかわからず、とりあえず適当に歩道を歩きながら携帯が鳴るのを待つ。

またさっきみたいな機械の音がしたらどうしようと、何となく周りをドキドキ不安になりながら確認する。





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前にさ俺の彼女か?って
幸子の画像出回ったんだよ。
一般人だし今はもう事務所使って
削除してる。
画像があっても
今はモザイクかかってる。


だけどどっかの週刊誌が
噂は本当か?って
嗅ぎまわってんだよな。
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これは…
望んでいたことが、もう叶って私の役目が終わるって事なんじゃないの?

画面に映し出されるメッセージの文字に、思った事をそのまま打ち込もうとしたら連続でメッセージが来る。


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言っておくけど
俺と幸子の親密の写真も無いから
流石に世間は信じないよ。

幸子単体だけの写真なんて
信憑性もなにもないし、
週刊誌がバッシング受けて終わり。
でも一応探ってるんだろ。
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お父さん、ビール貰っちゃった
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別にいいじゃん。
なんなら米もよこせって
言っとけよw
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