皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました

あれ?
と、隣の黒川君、いつのまに居なくなったんだ?と、もぬけの殻になった席を見ていたら、ゴホン!と担任が咳払いをした時に皆の視線を感じた。
前の席の人の自己紹介がとっくに終わっており、こっちもあれ?っと、慌てて


「あ!木村幸子(きむらさちこ)です!趣味はバイトです!」

と、慌てたせいでよくわからない自己紹介をしてしまったが、正直これで恥ずかしいとはならないが、

ププ

明らかに馬鹿にしたような鼻で笑われた声が遠くで聞こえた。
笑いの先は同じ中学だったA子とB男。なんとなくしか知らない二人だけど、馬鹿にされる理由はわかる。



私が貧乏だからだろう。



今着ている制服も近所のお姉さんのお下がりで、中学の時は電気も水道も止められたこともあり、お風呂に入れずギトギトになった髪の毛を同級生に何度もからかわれた。

汚いのは事実だし、ギトギトの髪の毛の女が洗濯もしていない臭いジャージを毎日着ていたら、私だって虐めはしないが近寄ることはしないだろうし。

だからあの人達の態度が正解なんだろなと諦めるしかないが…。



「瑠色可哀相~。」
「お前の隣の席で息止めてるぜ?きっと。」

< 8 / 168 >

この作品をシェア

pagetop