皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました
この事がきっかけに、黒川君が居なくても話しかけてくれるクラスメイト。堂々とあの時はごめんと謝ってくれる女子もいた。
「ホラ幸子!次体育!」
意外だったのはA子、もとい加南子がよく話しかけてくれたり移動教室等を誘ってくれるようになって戸惑ったが、
「ねぇ、木村さん。瑠色と付き合うってどんな感じ?」
と、今まで聞きたくても聞けなかった好奇心な質問を誰かがしても
「ホラホラ、芸能人の彼女だから言えないこともあるでしょ!ファンの私達は影で見守るだけよ。」
と、加南子がバッサリ切ってくれる事に有難い。
「LINEしていい?」
「あ、私も!」
「瑠色の写メこっそり見せて。」
増えていく連絡先、増えていく友達。初めて過ぎて戸惑いながらも、嬉しくて楽しくて仕方ない。
「駄目だよ、黒川君のプライベートは見せませ~ん。」
と、言ったこともないジョークに笑みが勝手に溢れて、
そしてたまに罪悪感に襲われる。
私 付き合って ない よ
彼女の役 してる だけ だ よ
黒川君の彼女だから近寄ってきてるのかな、また何かくれるかも?と思われて仲良くしてくれるのかな?
バレたら?
関係が終了したら?
また皆、私から離れていくのかな?
ハッキリ言う性格の加南子から、
「貧乏だからお金でも貰ったんじゃない?」
と、言われたりしてしまうのか。
「幸子?どうしたの?」
「え?いや、何でもない。」
皆を信じられない自分がいて、皆を信じて傷つきたくない自分がいる。
どんどん増えていく疑心暗鬼。
毎日増えていくクラスメイトの他愛ないLINEのメッセージが、不安で押し潰されそうになった。