皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました
「瑠色大丈夫よ。」
ママさんが黒川君に近づいて何を言うのかと思いきや、
「皆より卒業が遅くなるだけよ。」
と、ジョークなのか本気なのか、それを聞いた黒川君がカウンターで顔をふせいでママ~!!と、泣き真似をしている。
「でも瑠色坊、お前本当に仕事忙しいんだろ?まして幸っちゃんと同じ高校ならまぁまぁ偏差値高いだろ?学業と仕事両立はキツくね~か?」
店主も料理をしながらカウンター越しに話しかける。そう、私達の高校は決して偏差値は低い方ではない。
私にとっては、近所のお姉さんの制服が貰えるならと決めた高校。
友達も遊びも無い私にしたら特に問題もなく合格したが…
「文美両道になりたかったんだよ。」
「文武両道でしょ。」
「いや、俺、美しいから…。」
「あっそ。」
「ママご馳走さま~。」
「は~いお粗末様~。瑠色、それなら幸っちゃんに勉強教わったら?」
お客さんと接客しながら黒川君に話しかけるママさんに、
「「いや、無理。」」
お互い同じ言葉を同時に伝える。
「ママさん、私忙しいのわかってるでしょ?勉強教えてあげる暇があるなら稼ぎたいよ。夏休みだよ!?朝から晩まで働けるんだよ!?」
「ママ、俺のプライドが許さない。勉強教わるとかカッコ悪い。勉強してる所見た事無いけど瑠色って出来るんだって思われたいわけ。」
「結果追試ギリギリじゃん。」
「あん時はガチで忙しかったんだよ!」
「はいはい、仲良し仲良し。いらっしゃいませ~。」
ママさんが私達をいつもの事のように流して終わる。