皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました
引っ越し屋さんの初めての早上がり。スムーズに作業が終わると、契約の終業時間まであと1時間もあるが、主任が私達のメンバーに「上がっていいよ、お疲れさん。」と、日払いのお給料をくれる。
嬉しいのは早く終わっても給料が変わらないこと。ホワイト企業!
そのお金と余った時間で、黒川君の誕生日プレゼントを買いに行く。
何を買うのか決めていないし、何が好きなのかもわからない。
LINEで加南子に相談しても
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彼女からのプレゼントって
何でも嬉しいと思うけどな。
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と、全く参考にならない返事が返ってきて更に困る。
本人に聞くのはサプライズにならないので、秀紀さんに聞くという選択肢もあるが、秀紀さんに連絡なんて恐れ多いので止めておいた。
バイト帰りの汗臭いまま、一度も入ったことがない雑貨屋の硬い重い扉を引いて入ると、扉についていた鈴がチリンチリンと可愛く鳴る。
天井から埋め込まれたオレンジのライトが照らし出し、可愛いお洒落な雑貨がズラリと並んでプレゼントを選ぶ筈なのに自分が欲しくなる。
見たことがないお弁当箱に、ふわふわのルームウェア。
使うのが勿体無いお花の形をしたバスボム。
キャラクターのお皿に、マグカップ。
どれもこれも、初めて見るものばかりで目移りしてしまう。
が、どれもこれも、お値段の高さに何度も値札を見てしまう。
「ぽ、ポーチだけで2800円!?タンブラー3500円!?」
物価高はこんな所にも侵出しているの…??
正直自分の予算を甘く見ていた。千円も出せば立派なものを買えると思っていた自分を殴りたい。