皆の推しメン(ズ)を私も好きになりました
「まぁ美容師ならとりあえず仕事は困らないけど、でもやっぱりメイクアップアーティストでやっていきたかったなぁって思うんだ。メイクするのが好きだしさ~。」
お化粧をされながら、なんとなく以前黒川君が話していた内容とリンクする。
【出来る努力はしてるんだけどどんなに頑張っても報われない人も沢山いるわけ。
売れる人なんて一握り、知名度更に上昇出来るならスキャンダルでも何でも良いんだ。】
「お姉さんも…チャンスさえあればそのメイクアップアーティストの仕事をもっとやりたいですか?」
「え?」
ビックリしたのか一瞬手が止まったが、
「当たり前じゃん。チャンスがあるならいくらでもやりたいよ。」
と、また手を動かしてきっと本音だろうか直ぐに答えてくれた。
このお姉さんの気持ちをなんとなく理解出来たのは、やっぱり前に黒川君が話した内容と少し似ていたからなのかもしれない。
まぁ、スキャンダルがチャンスと捉える黒川君サイドの思考はわからないが。
「で~きた。見てごらん。」
鏡に映っている自分の顔が、私なのに私じゃなくて。
顔の毛穴はどこにいったのか?と思う程何かにカバーされている。
書いているのに書いていないような自然の眉毛の整った仕上がり。
ほっぺたと瞼がうっすらピンク色で、何がどうなってこうなったのか、目の大きさが1.5倍に大きくなった気がする。
「凄い!お化粧してる私!!」
「可愛いよね~。彼氏も惚れ直すんじゃないかな?」