余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~
「……本音を言うと、まったく期待してないわけじゃない。秋奈の言う通りだし、それに……大切にされてるなって感じる、から」

 自分で言っていて気恥ずかしくなり、ぱたりとベッドに倒れ込んだ。秋奈も悶えているらしく、またしても興奮気味な声が聞こえてくる。

《きゃ~ムズムズするぅ! いいぞもっとやれ~》
「切りまーす」

 秋奈が調子に乗ってきたので強制終了しようとすると、ちょっと待てと制止され《お土産はちょっとだけでいいから楽しんできてね》と、冗談っぽく言われて笑い合った。

 電話を終えた後、ごろんと仰向けになって物思いに耽る。

 夏くんがどんどん甘くなっているのもさすがに気づくし、誰に対しても優しい人だけれど、私に対するものはそれと違う気がする。秋奈に言われてから余計に意識してしまってドキドキしている。

 もしも奇跡的に彼も同じ気持ちになってくれていたとしたら、ものすごく嬉しいしこれ以上の幸せはない。でも……私はそれを望んではいけない。決して命の長くない私が、彼の隣にいていいとは思えないもの。

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