余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~
「ここも、早く繋がりたいって言ってるみたいだ」
「んぁっ……!」

 浅い部分を優しく擦られるのが気持ちよくて、声を抑えられない。中が熱くてどうにかしてほしくなり、手を伸ばして彼の動きを止める。

「……そうだよ。私だって、夏くんが欲しいんだから」

 もう片方の手の甲で口元を隠しつつ、涙目になって正直に言うと、彼の頬がほんのり赤く染まる。「可愛すぎてもう無理」と呟いた彼は、身体を起こして避妊具の袋を開けた。

 指はすんなり飲み込んだのに、今度ばかりはそうもいかない。少し時間がかかったけれど、たくさんキスをしながらなんとか繋がって、身体も夏くんでいっぱいになると喜びで心が震えた。

 指を絡ませ、ゆっくり突かれるたびに痛みが変化していく。徐々に律動が早くなり、広い背中にしがみついてただただ喘ぐ。

「あぁっ、んぅ、夏く……好き。好き……」
「俺も好きだ、天乃……っ」

 荒い呼吸の合間に、何度も愛を伝え合う。もう痛くも、悲しくもないのに自然に涙が滲んで、目尻からこぼれ落ちた。

 最期に見る景色が、あなただったらいいのに。

 このまま死んでもいいと本気で思うほど、全身で愛される極上の幸せを知った。


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