余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~
夏くんの真摯な想いが嬉しい。でも、無断外泊というのは嘘だ。病気の私がなにも連絡しないのはさすがに心配させてしまうから、ホテルにチェックインする時に連絡しておいた。
どうやって切り抜けようかと考えていると、夏くんは「なあ、天乃」と呼んで肩を抱き、私の顔を覗き込む。
「偽物じゃなくて、本物の婚約者になってくれないか?」
まさかの言葉に目を見開いた。いろいろな考えが一瞬どこかへ吹っ飛んでしまう。
「本物の……?」
「そう。天乃以外の人とは結婚する気ないっていうのも本心だよ。ずっと一緒にいたいって思うのは天乃だけ」
甘い声と、頬を撫でる優しい手に、ぐらぐらと心が揺さぶられる。
「俺と結婚してほしい」
まっすぐなプロポーズに涙が出そうになった。
ずっと大好きだった人からの求婚。すごく、すごく嬉しい。本当はすぐに承諾したい。でも……。
心がちぎられそうになりながら迷いを振り切り、彼の胸を押した。私はこれから、最低なことをする。
「……結婚は、できない」
床を見下ろしたまま無理やり声を絞り出した。夏くんは今、どんな表情をしているんだろう。
どうやって切り抜けようかと考えていると、夏くんは「なあ、天乃」と呼んで肩を抱き、私の顔を覗き込む。
「偽物じゃなくて、本物の婚約者になってくれないか?」
まさかの言葉に目を見開いた。いろいろな考えが一瞬どこかへ吹っ飛んでしまう。
「本物の……?」
「そう。天乃以外の人とは結婚する気ないっていうのも本心だよ。ずっと一緒にいたいって思うのは天乃だけ」
甘い声と、頬を撫でる優しい手に、ぐらぐらと心が揺さぶられる。
「俺と結婚してほしい」
まっすぐなプロポーズに涙が出そうになった。
ずっと大好きだった人からの求婚。すごく、すごく嬉しい。本当はすぐに承諾したい。でも……。
心がちぎられそうになりながら迷いを振り切り、彼の胸を押した。私はこれから、最低なことをする。
「……結婚は、できない」
床を見下ろしたまま無理やり声を絞り出した。夏くんは今、どんな表情をしているんだろう。