余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~
「ちょっと、どうだったのよ大阪デートは!? その話聞きたくてうずうずしてたんだから」
「はぁ!? 俺、なにも聞いてないんだけど」

 そういえば慎ちゃんには報告していなかったな。「そうだっけ?」ととぼけて、文句を言いたげな彼に構わずお土産の紙袋をふたりに差し出す。

「すごく楽しかったよ。はい、これお土産。秋奈は限定スイーツで」
「あ、これ気になってたの! 嬉しい~ありがと」

 見た目もおしゃれなお菓子は秋奈にぴったりだと即決したのだが、予想通り喜んでくれていてよかった。一方、慎ちゃんはウケ狙いの雑貨に眉を歪ませている。

「なにこれ、たこ焼きのゴルフボール?」
「それは夏くんチョイスね」
「俺ゴルフしねぇし! 面白いけど!」

 そのツッコミと、『慎太は絶対喜ぶ』と言いきって選んでいた夏くんを思い出して、秋奈と一緒に大笑いした。

 部屋に飾ってもらえたらいいなと願い、飲み物が来て落ち着いたところで本題を切り出す。

「大阪デートだけじゃなくて、この一カ月弱は本当に幸せだった。ちゃんと想いも伝えられたし」

 そのひと言に〝おっ!?〟という調子で目を輝かせたふたりだったが、私が「でも」と続けたので押し黙った。

「夏くんとは付き合えない」

 突然の冷ややかな宣言。まったく予想していなかっただろうふたりは、呆気に取られている。

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