余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~
りほさんはくるっとカールしたまつ毛を伏せ、少し失望したような調子で言う。
「信じられません。あの芹澤先生が、皆を騙すようなことをしていたなんて」
「結婚する気がないのにいろんな人から話を持ちかけられて困ると言っていたので、私が提案したんです。パーティーで紹介するまで、婚約者のフリをするって」
皆を騙していたのは私も同じ。夏くんだけが責められるのは絶対に避けたくて、真実を打ち明けた。
少ししか外を歩いていないのに喉がカラカラに乾いていて、ちょうど運ばれてきたラテを手に取る。りほさんは私を見たまま、単純に疑問に思ったらしく問いかけてくる。
「清華さんはどうしてそんなことをしたんですか? なにかメリットがないと、偽装婚約なんてしないですよね」
もっともな質問に、喉を潤した私は自嘲気味の笑みをこぼす。
「……私も好きなんです、夏くんが。ずっと大好きだったのに、彼にはその気がないからって行動に移せずにいました。でも私、遠くへ行くことになって。その前に、嘘でもいいから彼に愛される感覚を味わいたくなったんです」
りほさんが目を見張った。私が彼から離れるのは予想外だったのかもしれない。
「信じられません。あの芹澤先生が、皆を騙すようなことをしていたなんて」
「結婚する気がないのにいろんな人から話を持ちかけられて困ると言っていたので、私が提案したんです。パーティーで紹介するまで、婚約者のフリをするって」
皆を騙していたのは私も同じ。夏くんだけが責められるのは絶対に避けたくて、真実を打ち明けた。
少ししか外を歩いていないのに喉がカラカラに乾いていて、ちょうど運ばれてきたラテを手に取る。りほさんは私を見たまま、単純に疑問に思ったらしく問いかけてくる。
「清華さんはどうしてそんなことをしたんですか? なにかメリットがないと、偽装婚約なんてしないですよね」
もっともな質問に、喉を潤した私は自嘲気味の笑みをこぼす。
「……私も好きなんです、夏くんが。ずっと大好きだったのに、彼にはその気がないからって行動に移せずにいました。でも私、遠くへ行くことになって。その前に、嘘でもいいから彼に愛される感覚を味わいたくなったんです」
りほさんが目を見張った。私が彼から離れるのは予想外だったのかもしれない。