余命１年半。かりそめ花嫁はじめます～初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで～

　ひとまず穏便に終わって胸を撫で下ろしていると、いくらかすっきりした表情になったりほさんが問いかけてくる。

「清華さんとは本物の婚約者になれましたか？」
「……いや、ちょっと問題アリで」

　歯切れ悪く答えると、彼女はこれまで見たことのない怒り顔に変化する。

「皆を騙しておいて、なにちんたらやってるんですか!?」
「急に毒舌」

　廊下には誰もいないが、万が一聞かれていたらまずいので静かに宥める。そして彼女の直球が痛い。

　その時、ふと思いついた。そういえば、りほさんはパーティーの時に天乃と話して異変を感じている。彼女が俺を避けるようになった原因の手がかりを掴めるかもしれない。

「りほさん、パーティーの時に天乃の様子がおかしかったって言っていたよな？　どんな感じだったか詳しく教えてくれないか」

　突然話の方向が変わって、彼女はキョトンとしていた。


　りほさんと話した後、俺は病院を出ると急いで天乃の自宅へ向かった。

　彼女の話では、俺とのことをいくつか質問したが天乃はなにも答えなかったという。青ざめた顔をしているようにも見えたというが、本人も食べすぎて具合が悪かったと言っていたしそれのせいだろうか。