余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~
明るく清潔感のある廊下をゆっくり歩きながら、夏くんは私を見下ろして口角を上げる。
「天乃のおかげで助かったよ。俺が困ってるのに気づいて阻止してくれたんだろ。天乃は本当に面白いことをするよな」
思い出し笑いしつつ言われ、汗が引いていくと共に浮かれた気持ちも落ち着いていく。
私は夏くんの結婚が嫌で咄嗟に割って入っただけで、彼を助けるためなんて気の利いた理由ではない。でも、完全に勘違いしている彼に今さら本当のことは言えず、ひとまず話を合わせておく。
「いいアシストだったでしょう。りほさんには本当に申し訳ないけど……」
「いや、あれくらいしたほうがいい。彼女はここで医療事務をしてるから、よく俺に話しかけてきてね。二十四歳になるんだけど、大事に育てられてきたせいか少し世間知らずなところがあって、断ってもなかなか諦めてくれなくて困ってたわけ」
彼が苦笑交じりに言うことは私もなんとなくわかり、頷きつつ「すごく純粋なんだろうね」と返した。
猪突猛進タイプのお嬢様のようだが、性格が悪いようには感じなかったし本当に可愛らしい人だった。男性なら皆夢中になってしまいそうなのに、目もくれなかった夏くんが不思議なほど。
「天乃のおかげで助かったよ。俺が困ってるのに気づいて阻止してくれたんだろ。天乃は本当に面白いことをするよな」
思い出し笑いしつつ言われ、汗が引いていくと共に浮かれた気持ちも落ち着いていく。
私は夏くんの結婚が嫌で咄嗟に割って入っただけで、彼を助けるためなんて気の利いた理由ではない。でも、完全に勘違いしている彼に今さら本当のことは言えず、ひとまず話を合わせておく。
「いいアシストだったでしょう。りほさんには本当に申し訳ないけど……」
「いや、あれくらいしたほうがいい。彼女はここで医療事務をしてるから、よく俺に話しかけてきてね。二十四歳になるんだけど、大事に育てられてきたせいか少し世間知らずなところがあって、断ってもなかなか諦めてくれなくて困ってたわけ」
彼が苦笑交じりに言うことは私もなんとなくわかり、頷きつつ「すごく純粋なんだろうね」と返した。
猪突猛進タイプのお嬢様のようだが、性格が悪いようには感じなかったし本当に可愛らしい人だった。男性なら皆夢中になってしまいそうなのに、目もくれなかった夏くんが不思議なほど。