余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~
「院長が結婚話をしてきたのは、俺と一緒になりたがってる彼女を見兼ねて一応聞いてみたって感じだったよ。院長の息子は開業医で、跡継ぎに困ってるのも事実らしいから、あわよくばって気持ちもあったのかもしれないけど」
「なるほど……。親心からだったんだ」
院長が政略結婚したがっているのかと思ったけれど、りほさんの気持ちを汲んだ形だったらしい。彼女はそれほどまでに夏くんを好きだということだし、その強い気持ちにも共感できるので、やっぱり申し訳なくなった。
夏くんの実家はというと、お父さんも優秀な脳外科医で今でもアメリカと日本を行ったり来たりしているらしく、私もいまだに会ったことはない。
自身でクリニックも開業しているが、夏くんは『そこを継ぐとしても現役を引退してからにする』と話していて、今のところは白藍で外科手術に専念することしか考えていないようだ。
彼は白衣のポケットに片手を入れ、引き続き控えめな声で気だるげに言う。
「この歳で独り身だからか、りほさんだけじゃなくて結婚を持ちかけてくる人は多いんだよ。うんざりしてたから、婚約者がいるって噂にでもなってくれたほうが都合がいい」
「そうなんだ……。でも、そんなのすぐに効果なくなっちゃうと思うよ」
「なるほど……。親心からだったんだ」
院長が政略結婚したがっているのかと思ったけれど、りほさんの気持ちを汲んだ形だったらしい。彼女はそれほどまでに夏くんを好きだということだし、その強い気持ちにも共感できるので、やっぱり申し訳なくなった。
夏くんの実家はというと、お父さんも優秀な脳外科医で今でもアメリカと日本を行ったり来たりしているらしく、私もいまだに会ったことはない。
自身でクリニックも開業しているが、夏くんは『そこを継ぐとしても現役を引退してからにする』と話していて、今のところは白藍で外科手術に専念することしか考えていないようだ。
彼は白衣のポケットに片手を入れ、引き続き控えめな声で気だるげに言う。
「この歳で独り身だからか、りほさんだけじゃなくて結婚を持ちかけてくる人は多いんだよ。うんざりしてたから、婚約者がいるって噂にでもなってくれたほうが都合がいい」
「そうなんだ……。でも、そんなのすぐに効果なくなっちゃうと思うよ」