余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~
【わかった。なにかあったら夏くんの家に行くね】
【それでも可】

 テンポよく返ってくるので、おかしくてふふっと笑った。

 こんなどうでもいいやり取りでも、バクのスタンプを送ってもらえただけでも嬉しくなる。チョロいけれど仕方ないのだ。私は長年彼に片想いしているのだから。

 癒されつつ【ありがとう。バクが来てくれたから大丈夫】と返し、ゆっくりしていられないので一旦トークをやめる。カーテンを開けると清々しい青空が広がっていた。

 昨日から梅雨が明けたらしい。青空に浮かぶアイスクリームのような真っ白な雲、道端に咲く色とりどりの百合やタチアオイ……原色が多くなってきた夏の始まりの風景を見ると元気が湧いてくる。

 なんだか生まれ変わった気分だ。ここ数日は悪夢を見続けていたような日々だったけれど、いつまでも落ち込んではいられない。

 ──今日から始めると決めたのだから。私の、第二の人生を。


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