余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~
「『夏くん、テンションさげみじゃーん』って絡まれたりもした」
「すっごい迷惑!」
さらに暴露され、空気の読めなさに自己嫌悪して頭を抱えた。今聞いたような深刻な事情で落ち込んでいる人に対して、一番やってはいけない絡み方なのでは?と後悔しまくる。
ところが、夏くんは思いのほか嬉しそうな顔をして言う。
「それが迷惑なんかじゃなくてさ。本当に俺の気持ちを変えてくれたんだよ。天乃の『夏くんに看取られる人は幸せだね』ってひと言が」
意外な言葉に、私は頭から手を離してキョトンとした。
確かあの時、絡んだ流れでふたりで話をしたんだよね。今日みたいに詳しくは語らなかったけれど、彼が医者として悩んでいて壁にぶち当たっているんだろうなと察したから、少しでも励みになればと思っていることを伝えたのだ。
『なにより大事な生きる時間を伸ばして、息を引き取るその瞬間まで精一杯手を尽くしてくれるんだもん。最期までそんな風にしてもらえたら、患者さん本人も家族もいい人生だったって納得できるんじゃないかな』
私がそう言ったのだと、彼は事細かに覚えていた。
私自身はその夜の記憶は曖昧だが、同じことを当時からずっと思っている。祖父を救ってくれた時から、病に立ち向かうひたむきさや、患者さんや家族と親身に接する姿を見て、人として尊敬しているから。
「すっごい迷惑!」
さらに暴露され、空気の読めなさに自己嫌悪して頭を抱えた。今聞いたような深刻な事情で落ち込んでいる人に対して、一番やってはいけない絡み方なのでは?と後悔しまくる。
ところが、夏くんは思いのほか嬉しそうな顔をして言う。
「それが迷惑なんかじゃなくてさ。本当に俺の気持ちを変えてくれたんだよ。天乃の『夏くんに看取られる人は幸せだね』ってひと言が」
意外な言葉に、私は頭から手を離してキョトンとした。
確かあの時、絡んだ流れでふたりで話をしたんだよね。今日みたいに詳しくは語らなかったけれど、彼が医者として悩んでいて壁にぶち当たっているんだろうなと察したから、少しでも励みになればと思っていることを伝えたのだ。
『なにより大事な生きる時間を伸ばして、息を引き取るその瞬間まで精一杯手を尽くしてくれるんだもん。最期までそんな風にしてもらえたら、患者さん本人も家族もいい人生だったって納得できるんじゃないかな』
私がそう言ったのだと、彼は事細かに覚えていた。
私自身はその夜の記憶は曖昧だが、同じことを当時からずっと思っている。祖父を救ってくれた時から、病に立ち向かうひたむきさや、患者さんや家族と親身に接する姿を見て、人として尊敬しているから。