余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~
「ちょっと気分転換するか」と言い、彼女の手を引いて会場の外へ出る。
比較的静かな廊下で、窓から夜景を見下ろしながらしばし話をする。
「明神先生、天乃の名前を知ってたよ」
「えっ、なんで?」
「栄養士さんから聞いたらしい。営業の有能っぷりを褒めてたって」
「ほんとー⁉ 超自己満なオススメをしてただけなんだけど」
半信半疑な様子にクスッと笑い、今しがた思い出した、食事をするようになった患者の話をする。以前にも伝えていたことだったので、天乃も思い出したらしく穏やかに目を細めた。
「そういえばあったねぇ。あれは私も嬉しかったな」
「エースの座は慎太から天乃に譲ろう」
「やったー」
ふざけてガッツポーズを作る姿も可愛くて笑っていると、彼女は少しだけ真面目な表情になって言う。
「なにもすごいことはしてないの。寝たきりの人も、流動食しか受けつけられない人も、どんな人にも食事の時間を楽しんでもらいたいだけだよ。美味しいものを食べると元気になるでしょ?」
にこっと微笑みかける彼女に、胸の奥がくすぐられる。君のこういう温かな部分に触れるたび、好きだなと思うんだ。
比較的静かな廊下で、窓から夜景を見下ろしながらしばし話をする。
「明神先生、天乃の名前を知ってたよ」
「えっ、なんで?」
「栄養士さんから聞いたらしい。営業の有能っぷりを褒めてたって」
「ほんとー⁉ 超自己満なオススメをしてただけなんだけど」
半信半疑な様子にクスッと笑い、今しがた思い出した、食事をするようになった患者の話をする。以前にも伝えていたことだったので、天乃も思い出したらしく穏やかに目を細めた。
「そういえばあったねぇ。あれは私も嬉しかったな」
「エースの座は慎太から天乃に譲ろう」
「やったー」
ふざけてガッツポーズを作る姿も可愛くて笑っていると、彼女は少しだけ真面目な表情になって言う。
「なにもすごいことはしてないの。寝たきりの人も、流動食しか受けつけられない人も、どんな人にも食事の時間を楽しんでもらいたいだけだよ。美味しいものを食べると元気になるでしょ?」
にこっと微笑みかける彼女に、胸の奥がくすぐられる。君のこういう温かな部分に触れるたび、好きだなと思うんだ。